江戸診 歯科

新宿区の江戸川橋診療所 歯科です。クリーニング&チェックをモットーに皆様の1番の歯のサポーターとして診療しています。火曜日・木曜日は夜間も診療していて、お仕事帰りも通院可能です。

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歯周病伝言板 vol03

 昨年の5月連休ぐらいだったが、急に左上の奥歯が内・外へはれてきた。痛くて食事どころではなく、翌日日曜日に市川市の救急センターへ行き、応急切開をされて、最寄りの医者へ行くように言われた。たしか「急性歯槽膿漏」とか言われた。あまり聞いたことのない名前だ。

 私は体もそうだが歯には自信があった。小さい頃から健康診断では、いい歯だいい歯だと言われていたし、ちゃんと磨いていた。今、歯の状態は良くないが、抜けた理由もよくわかっていた。つまり、独身時代が長くてその間、食生活に偏りがあり、歯質に影響が及んだのではないか、いうふうに[正・否はともかく]。しかし、今回の歯茎のはれはさっぱり納得がいかなかった。訳がわからなくてやたらと腹だたしく、イマイマしかった。何かのまちがいだと思った。何かというと歯医者通いをして嘆いている妻を「いつもどこを磨いてるんだ。」と馬鹿にしていたのに同じ氷川下セツルメント病院へお世話になることになってしまった。

 まだはれている歯茎からどす黒い血が出た後、歯の正しい磨き方を教わった。歯のつけ根にさしこむように小さく何度もやれという。女房が力説していたことだ。こんなことでなおるとも思えなかったが、やることにした。鏡を自分で見せられて、はれた歯茎がしまってくると言われたが、はれているのかいないのか私は見ただけでは判断できない。二つ並べないかぎりわからない。女房はよく馬鹿にする。それにしても、今までの私の磨き方や、世の歯磨き材など、あれは何なのか。

 症状が落ち着いてきて、歯と歯茎の深さをはかるという。上下、前歯、奥歯全てについて針状のものを入れ、深さをはかった。2人 が組んで1人がはかり、もう1人が記入していた。「イチ、サン、ニー」といった感じで途中で、「アラ、ソレジャナイワヨ」などと聞こえると、「頼むからちゃんとやってよ」と大口あけた鯉の頭で念じた。3カ所くらい深い所があり、最大で7~8mmと教えられ、信じないわけでないが、何で俺がどうしてなんだと腹がたった。

 歯石の話も同時にされ、今後順序だてて歯石を除くとのこと。歯石こそが食物の食べカスなどとむすびつき、歯の炎症を起こすとのこと。この話も俄には信じられなかった。今でこそタバコはやめているが、7~8年前までは1日4箱は喫煙していたから、歯の裏は相当に今でも黒い。そんなものは大したことではないと思っていたし、おそらく普段の行状のよくない輩をおどしつけるための材料だろう、くらいに思っていたからだ。「アフリカの黒人は歯など磨かず、歯の裏はまっ黒だが、シソーノーローなど1人もいない」と信頼するに足る友人が言っていたのも思いこみのひとつである。[真偽は定かではないが]

 大口あけて歯石をゴリゴリ削られるのも、結構シンドイことだっが、唾がたまるのにも閉口した。そのうち歯茎の深い所をとってもらったところ、その翌日から、それまで歯を磨いていても何となくシクシクとして何か変な感じがあったものが、スッキリ全く何ともなく、これが歯だ、という気がした。これでやっと歯石重罪人説を信じられた。

 半年以上磨きつづけても、再度の歯茎の検査で深いままの所があるとのことで、手術することになった。わが女房殿が会社に電話してきて「今日は早く帰れ」等と、自分の手術で情けない声を出していたあれだ。切って歯と歯茎をくっつけるとのイメージはどうもわいてこない。右上奥の最初の手術は緊張していたわりには、それほど痛くなかったが、「3本ある根の1本は根元がとけてういている」との話には正直おどろいた。そんな年かなぁと。左上奥の時は初回と違い、大いに痛かった。内も外も色々手入れされてそのうち麻酔も切れてきた。しかし、また注射するのもいやなのでことわってガマンした。

 今、おかげさまで快調な毎日である。しかし、鏡の前で口の中を見ると上下左右、かぶせた歯、つなげた歯、切った歯茎と満身創いである。実に情けない。大事に使っていこうと思う。もう歯医者のチュイーンという音と削られるのはコリゴリだ。

 

辻隆郎