歯列接触癖(TCH)
歯列接触癖(TCH)
大泉生協病院 歯科医師 熊井 大樹 (江戸診歯科木曜日勤務)
TCHとは、Tooth Contacting Habitの略で、日本語で言えば、上下の歯を接触させる「噛み続け癖」のことです。この癖は食事以外で不必要に上下の歯を接触させ続けてしまうもので、歯ぎしりや、くいしばりとは違い、意識せずに上下の歯が触れている状態のことを指します。
健康な方は、通常、上下の歯列間に1〜3mmの隙間があり、上下の歯が接触するのは会話や食事の時など、平均で1日20分以下といわれています。
一方、上下の歯列間の隙間が失われ、上下の歯の接触時間が長くなってしまうのがTCHを持つ方の特徴です。食事以外で上下の歯を接触させる癖といえば、多くは就寝時の「かみしめ癖」や「くいしばり癖」、いわゆる「歯ぎしり癖」が思い浮かびますが、実際には、パソコンやスマホの操作に集中しすぎることや少し俯いた状態での操作、また、ストレスなど緊張して歯の接触する機会が増えることが主な原因と考えられています。
軽く上下の歯を接触させ続けるだけでも、その歯の血流障害が起こり、歯の知覚過敏症状、かみ合わせ痛や動揺、浮き症状、歯周病の進行にもつながっていきます。また、かみ合わせた状態の持続は、耳の前にある顎関節の圧迫を引き起こし、顎関節症発症の一つの要因になります。
「TCHかも?」と感じたら、まずは日常生活の中で上下の歯を離すことを意識してみてください。TCHに対しては、まず自身にその癖があることを自覚すること、そして気づいた時にはやめるようにすることが第一の対処法です。
江戸診 歯科